歯科衛生士徒然草 第二十話

§第二十段

大学入試の採点ミスや医療ミスが連続し、世間を賑わせている昨今ですが、6月22日(金)の朝、我が家も珍しいミスを見つけてしまいました。なんと日経 新聞第2部の日付が6月28日(木)になっていたのです。これには6人家族全員が一瞬沈黙のあと大爆笑。2人は「日経ともあろう所が何たるミス」と怒り、 2人は「日経でもこんなミスするんだ、やっぱり人間や」と嬉しがり、1人は「明日の謝罪文の掲載が待ち遠しい」とおっしゃる。このミスは人間の生死には影 響を与えませんが、私は何とも複雑な気持ちでした。

茨城の原発事故もそうでしたが、最先端の医療現場で起きているミスも、常識では考えられないことがほとんどです。起きてはならないことだけれど人間のやることですから絶対はありえない、という考えをもって取り組むしかないのでしょうか。

英国でも医療事故は社会問題となっているようですが、その対策の1つとして、起きた事故は自発的に公開し、どこに問題があったかを話し合って原因を明確 にする、そしてそこから学ぶ、という取り組みが始まっています。公開された事故原因の情報を見た医療現場の人々からは、「いつもやってるよ、そんなこと」 という反応が意外に多かったそうです。

隠ぺい主義の日本社会では、即公開とはなかなかいかないようですが、おきた事故から学ばぬことには防止はできませ ん。即公開することが最も早道だと思います。中野次郎の「誤診列島/ニッポンの医師はなぜミスを犯すのか」(ホーム社)という本を是非お読みになってくだ さい。

さて、こういう医療ミスとは正反対に、すばらしい成功例はすぐ学会や専門雑誌で発表されますが、むしろNG症例特集などがあれば、日々の仕事に役立ち何 より患者さんの為になるような気がします。新しい学会もたくさんできていますが、いっそのこと「NG」学会なんてのはいかがでしょうか。発表の先生には匿 名でマスクをつけて登場いただければ、怪しくて為になる学会ということで大人気間違いなし。DHが集まる夜の巷学会では、この種の報告が始まっています。 NG大賞の患者さんには誠に申し訳ないですが・・・。