ジュースやワイン、栄養ドリンク、かんきつ類などに含まれる「酸」によって、歯が溶ける「酸蝕歯(さんしょくし)」の患者が増えている。成人の6人 に1人がかかっているとされる。酸の多い飲食物の摂取の仕方や歯磨きの方法、生活習慣を見直す必要がありそうだ。(横山由紀子)
(中道哲医師提供)
癖も要因?
虫歯は、細菌が作り出す酸で歯が溶ける疾患だが、酸蝕歯は飲食物の酸によって歯が溶けてしまう。歯の表面を覆うエナメル質が溶け、その下にある象牙質が透 けて黄色く見えたり、歯の先端がひび割れ、咀嚼(そしゃく)機能が低下したりする。冷たいものがしみる知覚過敏の症状が出ることもある。
酸の強い飲食物を口にすると、口の中は酸性になる。通常は唾液の働きで中性に戻り、唾液に含まれるカルシウムなどで歯のエナメル質を修復(再石灰化)してバランスが保たれている。
「しかし、ワインなど酸性の飲み物をチビチビと長時間にわたって飲むと、歯が酸にさらされる時間が長くなり、酸蝕歯のリスクが高くなる。食べ方、飲み方が 問題になってくる」。大阪府歯科医師会産業歯科保健対策推進室室員を務める中道歯科医院(大阪市平野区)の中道哲医師は警告する。
中道医師が診察した患者の症例を紹介する。
健康維持のため、毎晩、黒酢を飲んでいた40代の男性は、上の前歯の内側がえぐられたように溶けて薄くなり、酸蝕歯と診断された。黒酢を飲んですぐ寝るという生活習慣の他に、前歯で舌をかむ癖があったことも、歯の摩耗を進行させたという。
もう一人は、冷たい水を飲むと奥歯がしみる知覚過敏の症状を訴えた60代の男性。奥歯のエナメル質が溶けて黄色い象牙質が露出しており、樹脂を詰める治療を施した。男性は酢の物が大好物で、歯を食いしばる癖があった。
「飲食物の摂取の仕方が適切でないと、酸によって歯が溶け、さらに歯を食いしばるなどの悪い癖が、歯を摩耗させてしまう」と中道医師は話す。
ゴシゴシこすらず
酸性やアルカリ性を示す「pH」値は、7を中性として、値が小さくなるほど酸性となり、臨界値の「5.5」を下回るとエナメル質が溶け出すといわれる。東 京医科歯科大学の北迫勇一助教の調査によると、市販飲料120種類のうち、コーラ飲料やスポーツドリンク、ワインなどの73%が、歯が溶け出すpH5.5 を下回った。現代生活には、酸性の飲み物があふれているといえる。
中道医師はアドバイスする。「酸にさらされたエナメル質は一時的に柔らかくなるので、摩耗を避けるため歯磨きは20~30分後にした方がいい。歯の 再石灰化を促すフッ素入りの歯磨き剤で、ゴシゴシこすらずに円を描くようにブラッシングしたり、飲食後に水で口をすすいだりするのもいい。食いしばりなど の悪い癖をやめること」
一度溶けては、元には戻らない大切な歯。ライフスタイルや食事の習慣そのものを見直し、予防することが何よりも大切だ。
【飲食物のpH値】
歯のエナメル質を溶かす飲食物のpH値は次の通り(東京医科歯科大学・北迫勇一助教の調査)。数値が小さいほど酸性度が高くなる。
◎コーラ飲料2.▽栄養ドリンク2.▽梅酒2.9▽スポーツ飲料3.5▽赤ワイン3.8▽ビール4.3▽トマトジュース5
◎レモン2.1▽グレープフルーツ3.2▽ミカン3.6▽和風ドレッシング4▽しょうゆ4.7
以上、2011年11月14日 MSN産経ニュース
最近このような情報が多いので、昨日は龍角散のPHをチェックして見ました。
15日のブログをごらんください。