訪問口腔ケアの授業の第一回で、
最も伝えたかったこと。
介護は、3Kの仕事、割りの悪い仕事・・・・
マイナスイメージが多いですが、
動物の中で介護をするのは人間だけ。
実は人間らしい仕事だと思うのです。
口腔ケアの定義として、次の二つが一般的に挙げられています。
<狭義>
口腔衛生管理に主眼をおいた、一連の口腔清掃と義歯の清掃 (器質的口腔ケア)
<広義>
口腔のあらゆる働き(摂食、咀嚼嚥下、構音、審美性、顔貌、唾液分泌機能、etc)を
健全に維持又は介護すること (機能的口腔ケア・口腔リハビリテーション)
しかし、私としてはここでもう一つ、挙げたいと思うのです。
<深義> 人間と人間の深いコミュニケーション
「老い」や「病」や「障害」は人々に順番に回ってきます。
植物の芽が出、花が咲き、種を残して枯れていくように、自然の営みなのです。
自分には遠い出来事だと思っていると、
あなたやあなたの近くに回って来ているかもしれん。
何か物悲しく、手助けが欲しい心境に陥ったとき皆が暖かく手を差し伸べてくれる社会、
平等を肌で感じられる社会、その一翼を私たちはみんなで担っています。
シモーヌ・ド・ボーヴォワールは、こんなことを語っています。
<老い>
人間がその最後の15年ないし20年もの間、
もはや一個の廃品でしかないとい事実は、
我々の文明の挫折をはっきりと示しています。
<人生の究極的意味>
もし我々が老人たちを動きまわる屍と見なすのではなく、
それぞれの人間の生活をその背景にもつ人間と考えるならば・・・。
・・・その最も恵まれない人々の境涯に努力を集中することによって、
人はある社会を根底から揺さぶることに成功するのです。
<老い(上巻)人文書院>