毎週のように学校を訪ね、たくさんの授業を見ています。そして、先生方から授業への想いを聞いています。
小学生から高校生、そして、先生や保護者のかたに役立つ教育番組を制作するためです。そのなかで、「こんな先生に教えてほしい」と思った先生方のことを書かせていただきます。
今回は、「朝の目覚めについて学ぶ授業」を紹介します、
東京都のIa先生は、小学3年生に保健と総合的な学習の時間を使って、体の仕組みと生活のリズムについて考えさせていきます。
先生が付けた授業のタイトルは、「脳と体を元気にする作戦」。
これは、一日を生き生きと活動するにはどうしたらよいのかを考え、どの子も持っている「大きくなりたい」「賢くなりたい」という気持ちをくすぐり、自分の生活を見直すことに導いていく授業です。
Ia先生がこの授業をすることを思いついたのは、子どもたちの睡眠時間が短くなっている調査が出たのがきっかけでした。
そこで、子どもたちが「きちんと睡眠をとろう!」と思うようになることが大事だと考えました。
授業は、自分の体の仕組みを知ることから始まります。最初の問いは、「人の体は、どの部分から目覚めていくのか」。
先生は、(1)脳、(2)目・耳、(3)胃・腸、(4)手・足の4つの部分を提示し、目覚める順番をつけるようにと伝えました。
子どもたちには、それぞれの部分が描かれた4枚のカードが配られます。
「自分が朝起きる時は、どうだっただろう?」と思い出し、カードを動かしながら、目覚める順番をじっくり考えます。手を動かしながら考えるというこのやり方は、記憶に残る学習のひとつのやり方です。
ちなみに、先生は、目を覚ますということは、その働きをチャンとできるようになることと意味づけていました。
先生は、自信がない子のために、寝起きの様子を映したVTRを用意していました。そして、順番ができたら、理由を言葉にしていきます。自分の意見を持たせるまで、確実にサポートすることは、良い先生の大事な条件のひとつだと思います。
正解は……
(1)目・耳 (2)手・足 (3)胃・腸 (4)脳
そう、目覚めに最も時間がかかるのは脳です。しかも、しっかり働くようになるまでは、1時間半から2時間、必要です。
この事実を知った子どもたちに、Ia先生は、1週間前に配り、記録をつけていた「生活しらべ」カードを見直しさせます。
このカードには、
(1)寝た時刻(2)起きた時刻(3)睡眠時間(4)顔を洗った(5)朝食(6)大便をした(7)よく動いた(8)今日の調子……が記されています。
また、先生は、経験すれば脳は発達すること、でも、脳が疲れていると頭に入ってこないことや難しいことができないことを伝えました。そして、脳が働くためには、睡眠が必要と付け加えます。
ここまで情報が揃うと、子どもたちは、自然に自分自身の生活を見直し、脳が働くためにどうすればよいのかを考えるようになります。
Ia先生の言葉の中で最も印象に残ったのは、
「子どもは、どうすればよいかがわかれば、努力するようになる」です。
良い言葉だと思いませんか?
2011.11.15 15:00 産経ニュースより(提供:Benesse教育情報
小学校の歯科保健指導を考える参考になりますね。