TBSテレビ「この差ってな何ですか?」という、世の中のさまざまな“差”に注目して、
なぜその差が生じているのかを探る新バラエティ番組。
その取材班が、歯科医院について調査している。
日本全国に約6万9000カ所。何の数字かといえば、これは歯医者(歯科医院)の数だ。何とコンビニエンスストアの1.3倍にも 上るだけに、街のあちこちで見かける。虫歯や歯周病の治療、歯の矯正、親知らずの抜歯など、口腔内にかかわる何らかの悩みを解決してくれる存在である。
歯医者をどんな基準で決めていますか?
ここで、読者の皆さんに伺いたい。あなたはどんな基準で「かかりつけの歯医者」を決めていますか?
「自宅や仕事場に近いから?」「知人が紹介してくれたから?」
人それぞれに事情はあるだろうが、いい歯医者の見つけ方がわからず、「何回通っても治療が終わらない」などという不満を抱えていても、ズルズル同じところに通っている……そんな人も多いのではないだろうか。
いい歯医者と、そうではない歯医者。見分ける方法はあるのだろうか。TBSテレビ「この差って何ですか」(次回は6月14日<日>よる7時から放送)取材班は、この差を徹底調査。全国174人の現役歯科医に、「いい歯医者だと思う条件」を聞いた。現職のプロが考える本当にいい歯医者。そのベスト5を紹介しよう。
聞いたことがある人も多いかもしれないが、虫歯だからといってすぐに歯を削るのはどうやらあまりよくないらしい。基本的に歯は削れば削るほどもろくなり、削ったところからまた細菌に感染して虫歯になりやすい状態になってしまうようだ。
そのため、どうしても削らなければならない場合は、マイクロスコープなどの拡大鏡をのぞきながら、なるべく虫歯のところだけを削るように努力するのが、いい歯医者。
さらに今は、ドックスベストなどという薬を使って虫歯の進行をおさえるなど、従来であれば削る虫歯でも、削らなくても大丈夫なケースも出てきている。ただし、この治療は保険がきかないようなので、主治医との十分な相談が必要になる。
歯科衛生士とは、虫歯の予防などを指導する専門職であり、医師による診察・治療の前に患者の口の中をきれいに掃除をしてくれる専 門スタッフ。口の中は細菌だらけのため、十分なクリーニングをせずに治療を行った場合、汚れごと歯の型をとったり、汚れを巻き込んだ状態で詰め物をしたり して、治療の結果がよくならない。
今回取材したクリニックの中には、3名の医師に対して9名の歯科衛生士がいるところも。歯科衛生士による口内クリーニングは医師による治療と同じぐらい、とても重要なのだ。
歯の写真といわれて「レントゲンのこと?」と思う人も多いかもしれないが……「写真」である。専用のマウスピースをはめて口の中をカメラで撮影するのだ。
これには一体どういう意味があるのか。実際、写真撮影を行っているクリニックに聞くと、歯の写真を撮影することで、患者自身に自分の口の中をしっかりと確認してもらい、治療の方針説明などに使うという。
中には患者が帰ったあと、撮影した写真を見ながら症例を振り返り、スタッフ一同で検討会をするというケースも。「ボクの中で写真撮影のない臨床は考えられない!」と断言する歯医者さんもいた。
丁寧な診察を心がける歯医者は良い
いちばん意外だったのがこれ。なんと、本当にいい歯医者は自分が不得意(専門性が低い)と思う治療が必要な患者にはきちんとその旨を伝え、診察・治療は行わず、患者が希望すれば、適任の医者を紹介するというのだ。
私たち患者側からすれば、ちょっと意外だが、「歯医者」といっても虫歯や歯周病治療を主とする一般的なクリニックから、審美歯科 専門のクリニック、抜歯・インプラントなどを得意とするクリニック、さらには手術を必要とするようないわゆる口腔外科治療が中心のクリニックまでさまざ ま。
いまどきは病院のホームページなどをチェックすると、そのクリニックの先生の経歴などが記載されていて、どんなジャンルの治療をより得意としているかが分かるが、そうした情報をチェックしないまま来院した患者には、より適したクリニックを紹介する必要があるというのだ。
ちなみに、今回取材したインプラント専門の歯医者さんは、「もう何十年も虫歯治療はしていない。自分の家族に頼まれてもやらな い!」と衝撃の告白。もちろん、インプラント治療をメインに掲げているクリニックの先生でも、虫歯が治療できないということはないのだが、自分が治療して もらうなら、やはりより専門性の高い先生に診てもらいたいものだ。
最も多くの歯科医師が「いい歯医者」を見分けるためのポイントとして挙げたのが、「初回の診療時間の長さ」だった。
歯の痛みが改善しない原因は2つあるといわれる。「診断を間違えている」または「治療を間違えているか」。そのため、治療の技術 は勿論のこと、大事なのは正しい診断をすること。そのためには患者の話をよく聞きよく会話をする必要があるのだという。ケースによっては、初診時は説明だ けで終わってしまうこともあるというから驚きである。
「あの歯医者は話ばかり長くて、さっさと削ってくれない!」などと思ったら大違い。その歯医者さんは素晴らしい歯医者さんかもしれません。