町村純子先生のプリントには、必ず作業療法士の木村順先生の引用があります。
研修でも、話題になる先生です。
先生の著書は多いのですが、アマゾンで検索したベスタセラー1位という
育てにくい子にはわけがある―感覚統合が教えてくれたもの
(子育てと健康シリーズ)大月書店 1500円
買って読んでみました。誰にとっても超おすすめです。
長年、歯科保健指導を通じて、乳幼児、小学生にかかわってきた。
自分自身が子供だった時代、そして子育てした時代を振り返ると、子どもたちは変わったと思う。姿勢が悪い、落ち着かない、不器用だとか、我慢できないということである。
教科学習については、私が勉強が嫌いであり、子どもにもテストで良い点を取ることに大きな期待をしなかったこともあり、学習面での変化はわからない。ただ、歯科衛生士学校で授業をしていると、学習面で苦労したことが感じられる学生は増えたのは間違いない。
言い換えれば、親や先生方から見れば育てにくい子どもたちが増えたということであり、子どもからみると、たくさんの子どもが生きにくさを感じているのだと思う。
そんな子どもや親たちを理解するためには、やはり知識が必要です。
「育てにくい子にはわけがある」は、その難しい知識を、大変わかりやすい言葉と、親切な図でもって解説してくれています。
子どもの育ちにくさの根本原因である感覚統合、つまり、脳や身体の発達過程における、感覚のアンバランスについて解説しています。様々な刺激が脳に入ってきたときに、うまく交通整理していくことの難しい子供たちがいるということです。しかし、感覚統合を理解し、それぞれの子どもにあったアプローチをすることによって、脳が刺激の交通整理ができやすくなる。
子どもの可能性を引き出す、<考え方>が書かれています。
私世代の方は、黒柳徹子さんの『窓際のトットちゃん』を読んだと思います。
トットちゃんは、そのような子どもだったと紹介されています。
子どもの時に、理解ある親といい先生に出会うことは、どれだけ人生が変わるかということです。歯科医院での歯科衛生士の対応によっても、その子の人生が変わる可能性があるのですね。責任重大です。発達障害児の親だけでなく、子どもの保育や教育に関わる方はもちろん、医療福祉関係者にとっても必読書だと思います。
また、わが子の理解できない行動や、私をイラつかせた言動の理由が、ここには書かれていました。歯磨きが下手な患者さんや、スケーリング技術の習得の苦手な学生さんに対する私の思い込みも反省させられました。無知、無自覚な思い込みにより、相手を責めていた!!
というわけで、「感覚統合」という、キーワードを理解する入門書としておすすめです。
木村順先生の子どもに対するあたたかく優しいまなざしが、伝わってくるとともに、作業療法士さんの仕事の深さに改めて気づきました。
では、具体的に感覚統合とは実際にどうするのということに関する本として、私が読んだのは、次の本です。
「子どもの理解と援助のために 感覚統合 Q&A」佐藤剛監修 共同医書出版社