土曜は、訪問口腔ケアの日です。
Tさんは、脳梗塞の後遺症で左麻痺の患者さんです。
口腔機能向上のための訓練をしていますが、毎日は続かない。
私の訪問時と、デーサービスの食前体操として行っているようです。
先週そのTさんの奥さんが、ワラビか食べたいと言っていました。
きっとTさんも同じだと思います。
そこで、今朝は散歩の足を伸ばして、ワラビを採ってきました。
摂食嚥下の過程は、次のように区分される。
先行期 ⇒ 準備期 ⇒ 口腔期 ⇒ 咽頭期 ⇒ 食道期
今回のワラビは、先行期のさらに前。つまり、機能そのもという問題ではなく、
食べ物の好みのの問題です。
美味しいもの、好きのものでなければ、
口をあける気になどならないということ。
まして、噛んで、飲み込もうとなど思わない。
この時期、この地域では、これを食べなくちゃ春がこない!!!
「ワラビが食べたーい」
これは、同じ地域に暮らす人間同士でなければできない、摂食嚥下のケアでしょうね。
大変?? いえいえ、このような我儘は大変ありがたいです。
なぜこんなことにこだわるか。
それは、昔のいやな給食体験からです。
私は、給食を美味しく食べることができなかった。
先生に好き嫌いが多い子はだめですと言われていました。
しかし、母の作るものは何でもおいしく食べることができ、好き嫌いなどありませんでした。
とにかく、私にとって給食の味はまずかった。
「口に合わない食べ物を食べさせられるのは拷問である」という経験がそうさせるのです。