日本歯科医師会からのメールマガジン

坂東先生から、送って頂きました。

■全国展開に向けて講習会 日歯・国がん連携事業

 がん手術前の患者への口腔ケアなどを行っている日歯と独立行政法人国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)との連携事業の全国展開に向けた7ブロック担当者伝達講習会が1月14日、ブロック代表者やがん拠点病院の医科関係者を交えて歯科医師会館で開催され、医科・歯科双方の円滑連携を図るべく、連携の必要性やその方法等を説明するとともに、連携拡大への理解を促した。

 講習会では、趣旨説明として、浅井昌大・国立がん研究センター中央病院頭頸部腫瘍科・
形成外科科長が医師向けに連携の必要性を、佐藤保日歯常務理事が歯科医師向けに連携の位置付けを説明。浅井科長は、術後肺炎予防のための口腔ケアの重要性などを示しながら、頭頸部がん手術における術前の口腔処置や術後集中治療室での口腔ケアの実践等の必要性を説いた。

 佐藤常務理事は、がん手術後・治療後の歯科医療のリスクの低減やケア方法の習得及び習慣の確立、術後感染の予防、口内炎及び口腔乾燥の合併症予防、食欲と味わいのQOLの改善に寄与することなどを示した。続いて、講習に移り、同センター中央病院歯科の上野尚雄氏が日歯と同センターとの連携実績と院内連携の構築を、大田洋二郎・静岡県立静岡がんセンター歯科口腔外科部長が院内教育やがん拠点病院と地域歯科医師会の連携構築を、深井穫博・日歯地域保健委員会委員長が今後のスケジュールや連携講習会のあり方などをそれぞれ説明した。

◎チーム医療や在宅歯科医療の推進を
骨子には歯科関係としては、
●重点課題1において、歯科医師等によるチーム医療や医科医療機関との連携を推進する観点から、頭頸部領域のがん患者等の周術期における歯科医師の包括的な口腔機能の管理等を評価することが盛り込まれた。併せて、関連医療機関と連携した歯科医療機関における歯科治療総合医療管理料及び在宅患者歯科治療総合医療管理料の対象疾患に、口腔内に合併症を引き起こす疾患を追加することも示された。

★重点課題2「医療と介護の役割分担の明確化と地域における連携体制の強化の推進及び地域を支える在宅医療等の充実」では、在宅歯科医療をより一層推進する観点から、

▽現在の歯科訪問診療の対象者について、歯科訪問診療の在宅歯科実情も踏まえつつ、適切に歯科訪問診療が提供されるよう「常時寝たきりの状態」の表現を見直す

★居宅に対する歯科訪問診療が推進されるよう、同一建物居住者以外に対する歯科訪問診療をより適切に評価するとともに、在宅療養支援歯科診療所の取組を評価する観点から、在宅療養支援歯科診療所に属する歯科衛生士が歯科訪問診療に際して診療の補助を行った場合に評価を行う

▽歯科訪問診療に必要な器具を携行した場合の評価について、一人の患者に対して「1回目」と「2回目以降」で異なる評価を、同一建物居住者の有無により適切に評価を行う。この際、同一建物居住者に対して、一度に多数の患者に歯科訪問診療を行う場合の評価を見直す―が掲げられた。

●また、「充実が求められる分野を適切に評価していく視点」では、「生活の質に配慮した歯科医療の推進について」として、著しく歯科診療が困難な者に対する歯科医療の充実を図る観点から、

▽著しく歯科診療が困難な患者の状態に応じて、身近な歯科医療機関でも円滑に歯科治療が受けられるよう、専門性の高い歯科医療機関から患者を紹介した場合及び一般の歯科医療機関が患者を受け入れた場合の評価を行う

▽「障害者加算」の対象者に、日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、著しく歯科診療が困難な状態を追加し、歯科診療報酬上における「障害者加算」は、加算の対象者の要件を維持しつつ、主旨をより適切に反映する観点から「(仮称)歯科診療特別対応加算」に改める―とした。

●歯や口腔機能を長期的に維持する技術、歯周病の治療や歯の保存治療(修復治療、歯内治療)等への評価としては、▽糖尿病患者は悪化しやすい傾向があること等を踏まえ、歯周病の悪化・重症化リスクが極めて高い患者等に対する歯周病安定期治療の間隔を、歯周外科手術を実施した場合に合わせて短縮するとともに、歯周治療の一連の診療報酬の評価を見直す▽歯の喪失リスクであるう蝕は歯周病と同様に年齢とともに増加傾向であることから、歯の修復治療や歯内治療等、歯の保存に資する技術を評価するとともに、歯を喪失した際に早期に口腔機能の維持・回復が図られ、生活の質の向上に資する技術等についても併せて評価する―が盛り込まれた。歯科医療における新たな技術については、医療技術評価分科会等の検討を踏まえつつ、適切な評価を行うことが示された。

●「患者からみて分かりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療を実現する視点」では、「医療安全対策等の推進について」として、高齢者に対する安心で安全な歯科医療を提供する観点から、
▽歯科の外科診療の特性を踏まえつつ、歯科医療の総合的な環境整備を行っている施設基準を満たした歯科医療機関の再診の評価を行う

医科医療機関との連携を評価した歯科治療総合医療管理料の対象疾患に、口腔内に合併症を引き起こす疾患(放射線治療もしくは化学療法の開始前や治療期間中の患者または骨粗鬆症等によるビスフォスホネート系薬剤の服用患者等)を追加―が示された。前回改定時に原則義務化された明細書の無料発行については、さらなる促進策を講じることが掲げられた。患者から見て難解と思われる歯科用語や臨床上行われていない行為に関しては、歯科診療報酬点数表の用語の平易化や簡素化を図る、とした。

石の絵

石の絵

 

 

日々思うことこの記事のURL