「要受診」でも歯科に行かず 小学生半分 中学生3分の2
3府県で調査
学校歯科検診で、歯科の「受診が必要」と診断された小学生の半分、中学生の3分の2が受診していなかったことが、大阪府歯科保険医協会、長野、宮城の県保険医協会の調査で分かりました。
府・県内の小・中学校にたいし、検診で「要受診」となった子どものうち、実際に受診した数などを、養護教諭らの協力を得て調べました(2012~13年度)。
その結果、「要受診」とされた小学生の受診率は、大阪49%、長野57%、宮城50%、中学生は大阪26%、長野38%、宮城34%など、深刻な実態が共通していました。
口腔崩壊の事例多数
また、口腔(こうくう)内が「崩壊状態」(1人でむし歯が10本以上ある、歯の根しか残っていないような未処置歯が何本もあるなど)とみられる子 どもがいたかどうかについて、「いた」と答えたのは小学校で大阪53%、長野48%、宮城54%、中学校では大阪36%、長野39%、宮城63%でした。 「口腔崩壊」の事例が数多く報告されました。
昨年9月に初めて調査した宮城では、「乳歯が根しか残っていない状態で、何か食べると歯が欠ける」「奥歯が溶けて無いため、よくかんで食べること ができない児童が3、4人いる」など深刻な実態です。「歯垢(しこう)、歯肉の状態に所見のある児童が増えている」との意見も多く寄せられました。
「要受診」とされたが受診しない理由として、長野では「親の意識」53%、「家庭環境」18%、「経済的理由」15%、「本人の意識」11%などが挙げられました(複数回答)。
歯と全身の健康との密接な関係が多く報道されるようになったもとで、「歯科治療に対する親の意識の二極化がかなり進んでいるようだ」としています。
各協会では、「受診しやすい環境の整備が急務だ」とし、「まず医療機関での窓口負担をできるだけ減らすことが基礎的で重要な条件」(宮城)などと指摘しています。
新聞赤旗 2015年1月25日(日) より