8月20日、21日の2日にわたって講演をさせていただきました。
歯科衛生士の先生方にお話をするのは大変だ!!と、準備期間中は気重でした。
当日、眞木吉信会長までいらして、あがり症の私は足はガクガク、手はブルブル。
みなさん、そんなことないでしょうとおっしゃいますが、超あがり症。
20日の講演終了後、穴吹学園の横井先生に「早口でしたねー」と言われましたが、
それは、緊張のせいなのです。
日常の授業も、緊張しています。
そう、態度と声は大きいのですが、気はとても小さいのです。
いま無事研修会を終えて、一番勉強になったのは私であったと感謝しています。
歯科衛生士による口腔ケアの質は、科学的な方法論が取り入れられることによって年々向上しています。
しかしケアの現場では、単なる通り一遍の科学技術的な知識や技術の寄せ集めだけでは対応できない課題が残っています。そこにはケアそのものが成り立たなくなるような質の問題が含まれているのです。
だが、われわれはその問題をあたかも存在しない問題であるかのようにして葬り去ることもできます。いえ、全く気づいてさえいないないかもしれません。
その一つは、看護・介護でも注目されている<口腔ケア>ですが、なぜこれまで注目されなかったのかという問題です。
看護学生さんが必ず手にする『看護の基本となるもの』でバージニアヘンダーソは、1961年にこう述べています。
すべての看護婦が、患者の意識の状態やベッドの上でとらなければならない体位がどうであれ、患者や無力者の口腔と歯を清潔にする方法を知っていなければならない。歯牙および歯肉は、病気中、健康時よりもいっそうの手入れを必要とする。歯は少なくとも日に2回磨き、できればもっとしたほうがよい。患者が自分でできない場合はいつでも、看護婦がその口腔を清潔にすべきである。患者に意識がないときには、水やその他洗浄剤類が誤飲されないように万全の注意をはらう必要がある。排水しやすいような頭の位置することが大切であり、また、モーターつきの吸引幾、あるいは注射器利用の手でする吸引を活用する。
1961年と言えば、私が3歳のころ。歯磨きは朝食前に1回だけしていた時代です。
もちろん仕上げ磨きなんてしてもらった覚えはありません。
歯磨き剤は、歯磨き粉でした。<笑>
これを読んだ皆さん、看護師さんはどうしてそうなんだとは言えません。
きっと、日本ではルーティーワークとしてマニュアル化していなかったのでしょう。
でも、どうしてマニュアル化しなかったのかも不思議です。
と同時に、マニュアル化したとたんに欠落する問題が出てくるのです。
そこをどう考えるかということなのですが、ナイチンゲールは私たちにヒントを残してくれていますよ、というお話をさせていただきました。
さて、この問題が解決されなければ、私たちも患者さんをケアをしているつもりでも
ほかのケアに於いて踏み外しをしている可能性が大きいということを自覚する必要があります。このような問題に関心がある方は、ぜひナイチンゲールの『看護覚え書』を読んで、
このサイトの<ナイチンゲールコーナー>の論文を開いてみてください。