なだいなだ

人は若い時に読んだ本に影響されると思います。
年を取ると、最近読んだ本よりも、
昔読んだ本の方が印象に深く残っていることに気づきます。

本を選ぶときに、自分が好きな人の本を読む。
好きだとは、ここち良いということでもあり、同じ作家の本を
次々に買って読むことになるんですね。

その作家に付き合って読み続けると、その人の変わらないところ
変わっていくところが透けて見え、納得したり、また反対に
どうしてそんなことになるんだと、信じられなくなることもあります。

私が若いころ読んでいた作家に、なだ いなだ さんがいます。 

なだいなだはペンネーム
スペイン語で「無の無」つまり「何もなくて、何もない」なださんらしいなぁ~

精神科医でもあり、鋭い社会風刺とユニークな発想に満ちた作品は、エスプリが効いてて
私を魅了し続けました。
しかし、ここ10年くらい、なださんの本を手にすることがありませんでした。
というか、忘れていました。

そんなとき、最後の本が出たということを知り、早速購入。

『常識哲学 最後のメッセージ』 筑摩書房

「他人が聞いて分かるように話すことができなければ、ものごとを十分に理解しているとはいえない(オスカーワイルド)」を引用し、
なださんが哲学し続けた「常識」について、わかりやすい日常語で説明してくれています。
わかりやすいというのは浅いものではありません。

私の大好きな、井上ひさしさん言葉に通じるとことがあります。
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」

つまり、深いことを私にも理解できる言葉を紡いで文章にしてくれていると感じるものです。

 

「日本の常識世界の非常識」と言われる「常識」「コモンセンス」は、私のナイチンゲール論の核心でもあります。再度、「常識」「コモンセンス」という言葉の定義を自分なりに再考しなければと背中を押される一冊でした。

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本棚をみて、目に留まったなださんの本をまとめてみました。
『心の底をのぞいたら』など、いくつかの本が行方不明。
子どもが持ち出したのかも…

今の社会の、権威、権力、組織等が、自分の身体感覚にフィットせず
生きにくさを感じている方は、これらの本は《効く》かもしれません。
少なくとも、私には効きました

『権威と権力  いうことを利かせる原理・きく原理』岩波新書などは、
政治家、医者、父親、先生、宗教者が大嫌いだった私の薬でした。

副作用は、へそ曲がりになること。
それでも、曲がってしまえば、こっちのもんだい!!

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