<朝日新聞の医療サイト 2014年6月 5日より>
「口が渇くんですが」と訴えて受診する人が増えています。
「歳のせいですよ」
これは、町医者にはNGワードだそうです。
「口を開けて寝てるんじゃないかな」
「夜中に汗をかくけど水を飲まないから」
ご家族は、いろんな原因を提案してくれます。
「ドライマウスじゃないかな?」
とりあえず提案してみます。
「どんな漢字を書くんですか?」「漢字?」。
町医者がまず聞くべきはどんな薬を飲んでいるか?
頻尿の薬、胃薬、抗うつ剤などのお薬の一部には
副作用として口渇があることがよくあります。
15~20種類ものお薬を飲んでいる方なら、
よくひとつやふたつ、そんなお薬が入っています。
その薬を止めるだけで口渇が治る人も多いです。
口渇を英語で言うと、ドライマウス。
ではドライマウスはどこの科に行くべきでしょうか?
内科? 耳鼻科? 口腔外科? 呼吸器科? 膠原病科?
実際これらの診療科をグルグル巡回している人も多い。
町医者の私は、お薬の副作用を除外できた場合、
ひとつだけ提案をしてみます。
「血液検査してみませんか?」
お金がないという人には、1項目だけでいいですと。
「1項目だけの血液検査?」
「そう、抗SS-A抗体という検査だけでもして下さい」
「シェーグレン症候群かもしれませんからね」
「ええ? なんですか、その病気?」
「もし抗SS-A抗体が陽性なら詳しく話しましょう」