効果的な歯磨きについて
歯磨きの最大の目的は「歯垢」の除去です。この「歯磨き」について、忘れられない
エピソードが2つあります。
●小学校で実施した「炎のチャレンジ・歯磨き大会」で、6年生ではなく2年生が優勝したこと。
●20分も歯磨きをしたにもかかわらず、磨き残しがあった患者さんのこと。
まず、20年前に放送されていた「炎のチャレンジャーこれができたら100万円」をもじって、小学校で行った歯磨き大会での驚きから。全校生に3分だったか4分だったか、自由に歯磨きしてもらい、その後、赤染をしてきちんと歯垢が落とせているかどうかを競いました。トップだったのは、歯科医院で新しい歯ブラシを買って持ってきた2年生のしんや君でした。勝つと思っていた6年生たちの敗因は、必死になって力任せにごしごし磨いたことです。磨き残やすい部位は、段差のある、歯と歯茎の境目や歯と歯の間です。言わば、重箱の隅。歯垢(プラーク)は、柔らかいネバネバした、スティック糊状のものです。歯ブラシを小さく動かして毛先で絡めとるように磨くほうが、得策です。毛先が開いていると磨けないのは言うまでもありません。また、毛先が開いてなくても、歯ブラシが古くなると毛先の弾力なくなり、汚れ落ちが悪くなります。掃除用のたわしと同じです。
次は、歯周疾患の治療として、歯磨き指導を受けるために通院して下さっていた幸子さん。ある日「今日は教えられた通りの方法で、20分も磨いてきましたから、赤染してもいいです。」と自信たっぷりにおっしゃいました。ところが、右の2番目の前歯(側切歯)と、上の奥歯の表側が磨けていませんでした。幸子さんは「えっー?なんで?」と、落胆した表情です。その答えは簡単。前歯が磨けていなかったのは、右利きの方によくある、磨き癖のためです。右手に歯ブラシを持つと、左の奥歯から磨き始める。徐々に犬歯、前歯と磨いたところで、歯ブラシを持ち替え右の奥歯から犬歯まで磨く。すると意識しないと右の側切歯に、歯ブラシの毛先が当たらないのです。歯ブラシを縦にすると磨きやすい部位です。上の左右の奥歯の表側が磨けていないのは、大きく口を開けて磨いていたからです。ここは、少し口を閉じ、頬の筋肉を緩ませて歯ブラシを動かしやすいスペースを作らなければ、歯と歯茎の境目まで磨けないのです。
二つのエピソードから言える、効果的な歯磨きの方法を紹介しますので参考にしてください。自分自身の歯磨きが上手になると、利用者さんへの歯磨き介護力がアップします。
1,歯ブラシ:小さめで、毛先に弾力があるもの2
2,歯ブラシの持ち方:鉛筆持ち
3,歯ブラシの当て方:毛先を歯と歯茎の境目ぎりぎりに当てる(鏡で確認)
4,歯ブラシの動かし方:小刻みに動かす(2~3㎜幅のストローク)
5,歯は1本ずつ磨く:10~20回ストローク
6,上下・左右・裏表すべて、1歯面ずつ順序を決めて磨く
7,舌で表と裏歯面を舐めて、ガラスの舌触りのようにツルツルになっていれば
磨けています。ザラッとかヌルッとした感じであれば、歯垢が残っています。
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4)歯磨きのポイント (1)
【歯磨きトレーニング法】
爪を歯に見立てて、白い三日月のところを、
小さな消しゴムで消すイメージで歯磨きする。
自分の爪に歯ブラシを当てて練習すると、上手
に磨けるようになります。