室町時代の入れ歯、見たことありますか? 30年迎えた「歯の博物館」 神奈川
「歯の博物館」に展示されている明治・大正期の診察台や器具=横浜市中区
お歯黒道具、木製入れ歯、手入れや治療の様子を描いた浮世絵-。開館30年を迎えた神奈川県横浜市中区の「歯の博物館」は、歯にまつわるさまざまなものを展示する。国内に専門の博物館はわずかしかなく、社会科見学の小学生や外国人らが訪れる。
「お歯黒がない時代に生まれてよかったね」。お歯黒道具や浮世絵を興味津々な様子で見て回った子どもからはこんな感想が漏れ、中高年は昭和期の缶詰の歯磨き粉を見ながら「おばあさんが使っていた」と懐かしむ。
博物館によると、日本の近代歯科は、幕末に横浜の外国人居留地で始まったとされる。昭和62年に発祥の地に開館。事前予約が必要だが、珍しさからか近年は来館者が増え、昨年度は過去最多の約600人が訪れた。
学会で日本を訪れた際に立ち寄る歯科医師の外国人も多いといい、博物館は英訳付きのパンフレットを作成した。
彼らの目を引くのは木製の入れ歯。日本では室町時代ごろから食事の際の実用品だったが、西洋では見た目を整える装飾品として、近代まで使われていたからだという。
歯科医師の大野粛英館長(79)は「一式をそろえたお歯黒道具が自慢の一つだが、来館者それぞれの楽しみ方がある。多くの人に来てほしい」と話している。入場無料。予約は県歯科医師会事務局((電)045・681・2172)。