今年は何故か、保育園からの講演依頼が多いのです。ちょっとビックリです。
いつも何をお話ししようかな?
お母さんやお父さんは、どんなことに不安を感じ、
何に悩んでいるのだろうかと、私も悩むのです。
そして、話した後は、あれでよかったのかと、不安になります。
今日伺った、岡田保育園では歯科衛生士の話しが聞きたいという希望があったそうです。
ありがたい!
昔は、「歯の話しはもういい。」と思われていました。
虫歯予防なんてタイトルが付くと、皆さん、いつの間にか消えてしまっていたのです。<苦笑>
かつて、私がDHになったころは、虫歯が多かったのですが、現在は、年々減少しています。
皮肉なもんですね。
さらに、お話しを聞きに来て下さるご家庭のお子さんは、虫歯が少ない。
あったとしても、治療している方がほとんど。
きっと、すでに歯科医院で保健指導を受けているはず。
ですから、講演に来て下さらない方にこそ、歯磨きや、おやつのお話しをしたいのです。
じゃー、来て下さった方に何をお話ししようか?ってことになる。
今日は、歯科保健指導のお話しに加えて、お母さんお父さんの感性に触れてみました。
難しいテーマですですね。
私自身の問題でもあります。
集まって下さった皆さんと私自身に、絵本を読みました。
瀧村有子さく 鈴木永子え 福音館書店
『ち ょ っ と だ け』
ママを独占していたなっちゃんが、ちょっとずつ ちょっとずつ頑張って
お姉ちゃんになってい様子が、何とも可愛らしい絵と、やさしい言葉で表現されています。
なっちゃんのおうちに、あかちゃんがやってきたのです。
ママのスカートを「ちょっとだけ」つまんで、
牛乳をコップにひとりで「ちょっとだけ」入れられて、
頑張って「ちょっとだけ」パジャマのボタンをはめて、
かみのけを「ちょっとだけ」じょうずにむすんで、
ひとりで遊んだブランコだって「ちょっとだけ」ゆれて・・・。
なっちゃんは、ママをちょっとずつ赤ちゃんに譲って、お姉ちゃんに成長していきます。
でも、ねむくなったなっちゃんは、ちょっと頑張れません。
そこでママに
「ママ、”ちょっとだけ”だっこして・・・・」眠い目をこすりながらいいます。
すると、お母さんは
「”ちょっとだけ”じゃなくて いっぱおだっこしたいんですけどいいですか?」
ママは やさしく わらって、 もういちど ききました。
「いいですよ!」
なちゃんも にっこり わらって いいました。
なっちゃんは ママの においをかぎながら、
いっぱい だっこしてもらいました。
そのあいだ あかちゃんに ”ちょっとだけ” がまんしてもらいました。
成長に伴う、子どもの切ない思い、頑張り、我慢する健気なようすがいいです。
こんなにいいこが育つのは、きっと
「”ちょっとだけ”じゃなくて いっぱおだっこしたいんですけどいいですか?」と
言えるママの感性が心の支えになっているんでしょうか・・・
私を含め、私の周で、こんな会話を交わしながら子育てしている人って・・・・???
思い浮かぶのは、テレビでお見かけした<美智子妃殿下と紀宮様>の ほほえましいお姿。
お姉ちゃんと弟が年子だった我が家は、眠くなるときは二人同時!
それも、忙しいときなんですねー。
お姉ちゃんを背中におぶって、弟をコンビラックにのせて、左足で動かしながら
包丁持ってまな板向かっていたこともあったなー
夏は、おまけに首にタオルを巻いて、ジョギングパンツとタンクトップ。
人様にはお見せできない姿。
さて、ここからが歯科保健のお話し。
おやつは3時と決めた皆さん、お子さんが3時5分前に 「おやつほしー」と
やってきたらどうしますか?
この質問に、9割のお母さんが、「あげちゃいます。」と答えます。
私もそうでした。
あとの1割の方は、「3時まで待たせます」に手をあげて下さる。
皆さん <偉い!> と言いたいところですが
しかし、ここには <イマイチ!> の対応も含まれています。
例えば、「3時ちがうやろ!」 怒ったり、手が出る。これは<イマイチ!>でしょう。
楽しいはずのおやつが、まずくなる。
また、子どもは、何か問題が起こったときは、こんなふうに解決するんだということを、
無意識のうちに身につける可能性がありますよね。
そこで、お母さんに考えて頂きます。
なっちゃんのママなら、どうするだろう。
一人では考えつかなくても、3人よれば・・・です。
・お約束したから頑張ろうとさとす
・とけいさんに、速く動いてと言ってきなという
・歌でごまかす<笑>
・女優になって一緒に、欲しい欲しいと駄々こねの芸をする<爆笑>・絵本を読む
・お兄ちゃんになったから、お約束守ろうねと言う <うちは無理>
いろいろ出てきました。
話し会うって、いいですよね。足し算じゃなく、掛け算効果が出ます。
このような、愛情が我慢の力を育むんだと思います。
それの結果、虫歯予防になるんですね。
「とっさの、素敵な言葉が出てくる口が欲しい!!」と
おっしゃるおばあちゃんも、いらっしゃいました。
そうですね!
つくろって出てくる言葉でもないし、
マニュアルではありえない。
けっきょく、愛の感性の問題ということになるのでしょう。
子どもに鍛えられて、私たち大人の感性が磨かれるということもあります。
私たちにとってめんどくさい子どもの訴えは、大人のこころ磨きのチャンスかもしれません。
仕上げ磨きの歯磨きだけでなく、こころ磨きも、むし歯予防には欠かせませんね。
それから、それから、おやつの時間が決まっているお家のお子さんは、
虫歯治療のとき、我慢できる子が多いそうです。
<PS>
おやつが欲しいと、大暴れする子どもも、なんかいいなーって思います。
必ず大暴れするだろうと予測できるはずですから、その前に大人が
”ちょっとだけ” 工夫をしてみませんか?
「おやつ」って子どもが言う前に、
「3じこないかなー?お母さん、もう我慢できんわ、どうしたらいいかな?」
これは、結構有効です。
お母さんがいつも言っている答えが返ってくる。
1つ思い出しました。
我が家の30歳になる娘が、就学前の予防注射を受けたときの大暴れ。
大人、4人がかりで押さえて、やっとのことでできたのです。
お医者さんは、「こんなに元気な子は見たことがない」と、むっとしていました。
いまは、がまん強い大人になっています。
おやつはどうしてたかって?
私の気分で、待たせたり、怒ったり、やさしく諭したり・・・でした。