<歯科衛生過程>と言う言葉を聞いたことがありますか?
3年課程を卒業した皆さんは、学校で教わったと思います。
それ以前の卒業生は、学んでいないのです。
H26年2月2日の「香歯医学大会」のポスター発表で、
香川県歯科医療専門学校の先生方と一緒に<歯科衛生過程>について
発表しましたので、さわりだけですが紹介します。
緒 言
歯科衛生士が誕生して65年が過ぎた。その間、少子高齢化、歯科医療の高度化、多様化など、我々を取り巻く「保健、医療、福祉」の環境は大きく変化している。
また、歯科口腔保健法に明記された、「口腔の健康は、国民が健康で質の高い生活を営む上で基礎的かつ重要な役割を果たしている」と言う意識が地域住民の間に浸透し、かかりつけ歯科医院で継続的な管理を受ける人も増えてきた。
さらに、他職種との連携による介護保険事業や、医科歯科連携のチーム医療への積極的な参加も推進されるようになった。このような状況において、歯科衛生士の資質向上が求められ、教育年数が2年制から3年制に移行したのは周知のとおりである。
歯科医療、歯科衛生の概念は、歯科医院内の疾患を中心とした考えから、生活概念を基盤にしたものへと拡大している。すなわち、歯科衛生士は地域住民に生涯を通して全人的に関わり、きめ細やかな口腔の健康支援を通して、人々の健康生活やQOLの向上に貢献することが求められているのである。
このような使命を担う歯科衛生士に求められるのは、個々のニーズに対応することができる視点と能力、他職種と連携して協働する能力である。ここに、歯科衛生士が科学的な思考で問題を解決するとして「歯科衛生過程」という概念が誕生した。
本校の教育においても取り入れつつある「歯科衛生過程」の概要を紹介する。
歯科衛生過程とは
「歯科衛生過程」とは、歯科衛生士が対象者(患者や健康な人)の歯科衛生上の問題に対し、その人に可能な限り最良で最善のケアを提供するために、科学的な思考で実行していく一連の問題解決プロセスである。
科学的であるということは、普遍性があることを意味する。同じ状況であれば、同じような判断を下し、同じように対処できるということである。看護過程に習えば、「歯科衛生学という学問体系と経験に基づき、対象の歯科衛生上の問題を明確にし、計画的に歯科衛生(歯科予防処置・歯科保健指導・口腔ケア)を実施・評価する系統的・組織的な活動」なのである。
歯科衛生過程の基本は5つのステップ6つの要素で成り立っており、そのサイクルは双方向にも作用する。また、一周で終了するのではなく、循環していくことで、対象理解と歯科衛生の質は高まり発展していく。
~歯科衛生過程の流れの概要~
歯科衛生過程は、
① 歯科衛生アセスメント ② 歯科衛生診断 ③ 歯科衛生計画立案 ④ 歯科衛生介入 ⑤ 歯科衛生評価 という、プロセスからなり、常にそのプロセスは、業務記録として
⑥ 書面化 します。
<6つの要素・5つのプロセス>
① 歯科衛生アセスメント 情報を収集・情報処理
② 歯科衛生診断 問題の明確化
③ 歯科衛生計画立案 優先順位の決定・目標の設定歯科衛生介入方法の決定
④ 歯科衛生介入 歯科衛生計画の実施
⑤ 歯科衛生評価 プロセスと結果の評価
⑥ 書面化 業務記録
耳慣れない言葉が多いですが、何度も目にし、耳にし、使っているうちに
だんだん理解できてきます!
雑誌などでこの言葉を目にしたら、是非、読んでみて下さい。
この<書面化>と言うのが大変です。
病棟の看護師さんが、ナースステーションで忙しそうに書いている記録です。