2013年6月20日(木) 上山信一:日経ビジネス より
筆者の自宅の近所で電線の地中線化工事をやっている。だが、遅々として進まず、わずか1キロに満たない距離を5年もかけて工事している。毎年、冬に なると急に作業が始まり、3月末には終わってしまう。背景には公共事業の年度別の予算制度があるようだ。一気にやればいいものを年度の予算が限られている ので少しずつだらだらとやる。
実はこれと同じことが私達の口の中でも起きている。デンタルケア、オーラルケアと呼ばれる世界の話だ。この分野は健康、美容への関心の高まりを背景に、潜在的な成長市場とみられている。だが、それにもかかわらず、ニッポンの官僚主義が成長を阻害している。
「いったいどういうことか?」話が飛びすぎているのは承知しているが、上山ゼミのデンタル産業チームの考察に少々お付き合い願いたい。
デンタルケア産業は合計約3兆3500億円ほどの市場で、近年、微増傾向にある。その中味は大きく2つに分けられる。歯科医など「プロ」によるケアと、歯ブラシ、歯磨粉きに代表される「セルフ」ケアのための製品販売である。
日本人は歯にお金をかけていない
さらにプロとセルフのそれぞれの世界は、「治療」と「予防」と「美容」の3つに分かれる。つまり、この市場は2×3=6つのセグメントに分かれて いる。なお、日本では、デンタルケアといえば図の左上の<プロ×治療>(約2兆6139億円)または右下の<セルフ×予防>(約1235億円)の2つが主 に話題とされる。だが中央の美容にも注目したい。<プロ×美容>の市場はすでに約5544億円に育っている。また<セルフ×美容>も約428億円と大き く、<セルフ×予防>(約1235億円)のおよそ3分の1にまで伸びてきた。
患者さんや世間の皆さまに、
一番お得なのは、
「予防で歯科衛生士にお金をかけることよ」って
こっそり教えてあげるといいですね。
こっそりがコツ!
その先に、歯科衛生士のお財布があります。
国民も、国も、歯科衛生士もお得!