§第十四段
『今日から21世紀!』と言われても、私は「ハルマゲドンは来なかった」と思う程度で、特に昨日と変わりない。だが、世間では21世紀、○○はどうある べきか?」という質問があちこちで飛び交っている。
そこで「21世紀の歯科衛生士像は?」と思いを巡らせてみたが、具体像は思い浮かばない。こんな私だっ て昔は”かくあるべき”お真剣に理念を語っていた・・・などというと年寄り臭いが、今では歯科衛生士憲章の一文『国民の歯科衛生を担う者として歯科保険医 療の向上に寄与する』これを実践するのみだという心持ちだ。一方で、今理想像が浮かばないのは、日常の歯科衛生士業務を場当たり的にこなしているからかも しれないと反省しきりである。
こんな私だが「21世紀の歯科衛生士業務」については強い思いがある。男性にも「歯科衛生士になりたい」と言われる職業に育ってほしいのだ。男女雇用機 会均等法の制定もあり、現在職種による男女格差は是正されつつある。その波は看護士・保母の業界にも波及し、看護士・保健士が活躍している。では、歯科衛 生士の現状はどうか。資格を持ち、働いている男性は全国に数人いる程度。職種名も”歯科衛生士”なのに皮肉なものだ。何故だろうか?
私は給与体系に問題があると思うのだ。周囲には「離婚したいが、この仕事は一人食べるのが精一杯、家賃も出ない。今の収入ではシングルマザーにはなれな いわ・・・」という仲間が複数いる。
悠々と離婚できる歯科衛生士は行政や大手企業勤務者くらいだろう。断っておくが、私は離婚を勧めているのではない。だ が、家族を養うことはおろか、自分ひとりの生活費を得られないようでは、一人前の職業とは言い難い。当然、男性も後ずさりするだろう。「何とかしたい!」 と叫んできたが、変わらない。しかし、教育年限の延長は少し期待できる材料であるし、歯科衛生士業務の保険点数がアップすれば、見通しは明るくなるだろ う。個々の歯科衛生士がプロとしてキャリアを積むのは当然であるが、歯科医師の先生方にもご自身の親族のことのように親身になってご助力いただければ、な お有難いと思う。
さあ21世紀、今日からは男性歯科衛生士と仕事できる日を夢見て頑張ろう!