心をちょっと開いてくれたMさんですが。
ここで、あわてて歯磨きをしようとすると、怒って拒否するに決まっている!
どうする?
とっさに浮かんだのが
本田「Mさん、歯ブラシやけど、赤と青と緑と白があるけどどれがいい?」
Mさん「えぇー? そりゃーこれ」と、赤を指さす。
本田「やっぱり。Mさんは赤がにあうよねー。これで磨こうね。」
この会話では<立場の大逆転>が起こっています。
本田にされる歯磨きはいや から 赤い歯ブラシをMさん自身が選んだという
つまり、受身だったのMさんが、主体性を取り戻すことが出来たのです。
言い換えれば、本田にやらされる から 自らしてもらうということになったのです。
ここからは、Mさんの卵焼きの怒りに共感した、私の怒りを語りつつ
Mさんに気持ちが、歯磨きに集中しないように・・・・そして、
私たちの敵は、憎っくき<卵焼き事件だ!>と言う構造で、話しをすすめ
つまり、私たちは同志です!
さりげなく、やさしく、ちょっとだけ、ちょっとだけ
いやっと言ったらすぐやめることができる態勢でケア。
Mさんの歯は、P3で 大変な動揺があります。
日常的に全く歯磨きをしていない状態。
歯ブラシは、迷わず US(ウルトラソフト)
もう一つ準備したのが、いつも使う透明コップ。
2~3回ブラッシングして、すかさずコップで洗い、
本田「よかったー、こんなん取れたわ―、奇麗になってよかったー」
Mさん「・・・」
本田「ごめんねー長いこと気がつかづに、Mさんの口ほったらかしておいて」
今回は上手く行ったが、定期的に口腔ケアさせてもらえるかが問題。
本田「毎日きたいけど、Mさん、毎日私に歯磨きされるのかなわんやろ」
Mさん「そりゃ―そうや」
本田「かと言って、1か月に1回い会と言うのは少なくて悪いしね」
Mさん「・・・・・」
本田「そや、1週間に1回くらいこようか?来週来てもええかな?」
Mさん「ええよ」
本田「ほな、また来週もこのコップでケアさせていただきますね。
私、本田です。覚えとってね。」
Mさん「本田さんな」
帰りに介護福祉士さんにお願いしたことがあります。
毎日誰かがMさんの部屋に行って、
「このコップと歯ブラシどうしたん?」と尋ねて下さい。
そして、
「Mさん、歯科衛生士の本田さんに歯磨きしてもらうことにしたんやね」
と言うことを確認して頂きたいのです。
来週、どうなることか・・・・不安
Mさんと私の敵は、憎っくき歯垢!
私たちは、口腔を爽やかにする同志!になることができれば嬉しいのですが。
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