弟子:今、学生さんが地域歯科保健指導の現場実習として、
保育園に行くための授業をしています。
師匠:それは面白そうですね。
弟子:紙芝居を作ったり、楽しいんですが
なにぶん入学して間もない1年生ですから、なかなか大変です。
本番までに3週間しかないのですが、私の段取りも悪いので、
そこそこのものしかできないかもしれません。
師匠:そうー。
弟子:私が手をかけて、もっといいものにするのは簡単なのですが、
それでは意味がないし
失敗しても困るし・・・悩みます。
師匠:失敗しないに越したことなないですが、実は失敗から学ぶことの方が多いですよ。
弟子:それは分かっていますが。
師匠:ところで、失敗して困るのは誰?
君の教師としての評価が落ちると困るって、考えているのではないのかな?
弟子:えっ?!・・・・・<そうだったのかもしれない・・・・・>
師匠:先生は、失敗した時にきちんと相手(保育園)に頭を下げたらいいんだよ。
弟子:失敗したら、そりゃーあやまりますよ。
師匠:「長」とつく人の大切な仕事は、挨拶と頭を下げること。
弟子:はぁー
師匠:昔、キセル乗車をした学生が捕まったことがあるんだよ。宇和島のほうだったかなー。
弟子:学生のことならやっぱり先生にも責任が・・・・
師匠:列車に乗って、宇和島まで学生連れて誤りに行きましたよ。
弟子:そこまでやりますか。
師匠:帰りの列車の中でね、学生が「先生、すみませんでした。」といいましたよ。
自分のために黙って頭を下げる姿を見ることで、学生は何かを感じるんだね。
これが教師の仕事だよ。きっと。
謝恩会のときには、それが笑い話となりましたね。
弟子:学生が保育園で失敗したら、
ちゃんとやらないからこんな結果になったと、学生を怒るかも・・・
師匠のような度量が私にはないなー
師匠:適当にやればいいんです。
弟子:適当でいいんですか。
師匠:誤解しちゃーいけませんよ。適当とは、適切かつ妥当です。
弟子:なるほど、いいかげんではなく、良い加減ですね。
師匠:そう。
弟子:そう言えばわたくし、息子のおかげでずいぶん頭を下げさせて頂きました。
あれって、子どもに育てられていたんですかね・・・
師匠:少しわかってきましたね・・・
弟子:あー、忙しくて、こんなことを考えられないという、教育現場・・・
頭下げると非を認めたことになるので、それを許さない現場もある・・・・